調理師を目指す皆さんへ

本ページの要点

①調理師免許は、国家資格であり調理、衛生、栄養面の専門知識を持っていると認識される。
②調理師免許は、即戦力になるので、資格手当が支給されたり、就職や転職に有利になる。
③調理師免許を取る方法は、調理師養成施設で学ぶか、2年以上の実務経験を経て調理師試験を受験するかの2通り。
④試験は、筆記試験のみで4択のマークシート方式で60問。
⑤勉強時間は、1日2時間で3か月から半年程度が目安。
⑥合格率は60~70%で、難易度も高くなく、受験対策をすることにより独学でも合格を目指せる。

目  次

調理師を目指すには
調理師試験の受験資格
実務経験を積むには大きく分けて5つ
調理師試験の日程
願書の取り寄せ方法
必要書類の準備
実務経験の証明方法
試験の難易度や試験科目と出題方法
合格の基準と合格率
試験勉強方法
受験対策にピッタリな本のご紹介
『調理師読本』と『調理師試験問題と解答』の活用方法
本の購入はこちらから
試験当日
免許の申請方法

調理師を目指すには

調理師とは、調理師法に定められている国家資格であり、調理師の名称を用いて業務に従事できるようになります。
調理師免許が無くても調理関連の仕事はできますが、資格を所持していることで、調理技術だけではなく衛生、栄養面の専門知識を持っていると判断されます。
調理師免許を持っている人は、即戦力になるので、資格手当の支給、就職や転職などに有利になります。

実際に調理師を目指すにはどうしたら良いでしょうか?
専門学校などの養成施設へ入学して学ぶ方法が一般的ですが、費用と時間は莫大なものになります。その他にも調理師試験を受験し合格する方法で取得することもできます。

このページでは、調理師試験の受験から調理師を目指す方法を詳しく解説します。

調理師試験の受験資格

調理師試験には、次の受験資格を満たす必要があります。

  1. 中学校卒業以上
    義務教育課程を修了している事になるので問題は無いと思います。
  2. 2年以上の実務経験が必要(通算でも可)
    飲食店などの調理に携わる仕事を2年以上継続する必要があります。
    また、就業時間が週4日未満であったり、1日6時間未満である場合は実務経験として認められないので注意が必要です。

実務経験を積むには大きく分けて5つ

 受験資格となる、実務経験を積むにはどうすれば良いでしょうか?
大きく5つの業態に分類されます。

  1. 給食施設
    寄宿舎、学校、病院、事業所、社会福祉施設、きょう正施設、自衛隊、給食センターなど
    ※継続して1回20食以上または50食分以上調理している施設
  2. 飲食店営業
    一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、レストラン、バー、キャバレーなどの客に飲食させる営業
    ※喫茶店営業は含まれません
  3. 魚介類販売業
    調理工程のある店舗を設け鮮魚介類を販売する営業をいう
  4. 弁当製造業
    そうざい(煮物、焼物、いため物、揚物、酢の物等)及びこれらを含む弁当製造業(通常副食物として供されるそうざいを製造する営業をいう)
  5. 複合型そうざい製造業
    4の弁当製造業とあわせて食肉の処理をする営業
    ※1:調理師法施行規則第4条第一号 ※2,3,4,5:調理師法施行規則第4条第二号

【注意】実務経験として認められないもの

直接調理に携わらない業務は実務経験とはみなされません。
そのほか、認められない代表的なケースを紹介します。

  1. 無許可営業である場合
    実績として認められる業種(業態)であっても、無許可営業の場合は無効になります。
  2. 営業禁止または停止された期間
    保健所からの営業禁止・停止命令により、営業できない期間は実績から除外されます。
  3. 直接調理の業務に携わらない場合
    実績として認められる業種(業態)であっても、直接調理とは関係ない業務は実績として認められません。
    例)事務や運搬(配送)、食器や鍋等の洗浄、管理運営、接客、食肉処理や調味料、麵等の食品製造、あるいは保育士、栄養士などが付随的な調理業務などが当てはまります。
  4. 料理教室などの習い事の場合
    お料理教室などで教えたり、習ったりした経験は認められません。
  5. 勤務日数と就業時間が少ない場合
    パート・アルバイトの場合、就業時間が週4日未満であったり、1日6時間未満である場合は実績として認められません。
  6. 掛け持ちによる、期間重複
    同期間にパートやアルバイトなどで、A社とB社を掛け持ち勤務していた場合、両方とも条件を満たしていても、A社(片方)しか認められません
    ※詳細な要件は、必ず事前に各都道府県の調理師試験の案内をご確認ください。

調理試験の日程

試験日程は各都道府県のウェブサイトなどで発表されています。
「調理師試験+都道府県名」などで検索すると、見つけやすいでしょう。
試験回数は1回(神奈川県のみ2回実施)で、例年5月~翌年4月にかけて行われています(令和5年時点)。
都道府県の中には、(公社)調理技能試験センター関西広域連合へ試験を委託しているところもあります。

願書の取り寄せ方法

受験願書は最寄りの保健所、各都道府県庁などで配布されています。
取りに行くことが難しい場合は、ウェブサイトから願書をダウンロードして印刷する方法や、郵送で取り寄せることもできます。
願書の取り寄せ方法は、事前に案内を確認しておきましょう。

必要書類の準備

都道府県により申請様式が異なりますので、代表的なものを記載します。

  1. 調理師試験受験申請書
  2. 受験票と写真
  3. 受験料と納付証明
  4. 調理業務従事証明書(実務経験の証明)
  5. 中学以上の卒業証明書(卒業証書ではないので注意)
  6. 戸籍抄本(結婚等で名字が変わっている場合に必要です)

準備が整ったら、受付期間中に指定された方法で提出しましょう。

実務経験の証明方法

実務経験の証明は、配布されている「調理業務従事証明書」を勤め先へ提出し、記入(捺印)してもらう必要があります。

■1社で2年以上勤務をしている場合
1社から「調理業務従事証明書」を発行してもらう
■2社以上で通算2年以上の勤務をしている場合
2社以上から「調理業務従事証明書」を発行してもらう

試験の難易度や試験科目と出題方法

  1. 試験の方法・試験時間
    筆記試験のみで、4つの選択肢から回答を選ぶマークシート方式です。
    出題数は60問以上、試験時間は120分以内です。
  2. 出題科目
    公衆衛生学、食品学、栄養学、食品衛生学、調理理論、食文化論の6科目より出題されます。
  3. 出題の割合

合格の基準と合格率

全科目合計得点が満点の6割以上で合格です。
ただし、1科目でも当該科目の平均点よりも著しく下回る場合、不合格になるので注意しましょう。
近年の合格率は60~70%程度であり、試験対策をすることで、合格に近づくことができるでしょう。

試験勉強方法

試験勉強の期間

1日2時間勉強する場合で、3か月から半年程度は必要でしょう。
科目が多いので、1科目ごとに分けて勉強し、その理解度を確認するために、問題を解く方法が一般的です。
例えば1週間や10日単位で、1科目を進めるといったスケジュールを立てると良いでしょう。
反復することが大切なので、得意な科目からでも、不得意な科目からでも、テキストの順番通りに進まなくても良いです。

実際の勉強方法

参考書を読む
適切な語句・キーワードとその意味をノートにまとめたり、本に直接書き込んで覚えましょう。
まとめるのが苦手な方は、移動時間を利用して参考書を読み込んだり、どうしても覚えられないポイントをピックアップすることから始めるのも良いでしょう。
② 問題集を解く
問題集を解いて、間違った問題は参考書で調べましょう。
余裕があれば、間違えた問題をまとめ、自分だけのオリジナルの問題集を作るのも良いでしょう。
③ ①と②をくり返す
復習して、間違えた問題や苦手な問題を克服していきましょう。
本番の時間内で解く練習をする
各都道府県のWEBでは、過去3年~5年分の試験問題と解答を閲覧することができます。
試験の雰囲気に慣れる、制限時間内に解答する練習などに利用すると良いでしょう。
こちらも余裕があれば、間違えた問題をまとめ、オリジナルの問題集に加えましょう。

 

受験対策にピッタリな本のご紹介

調理師読本

調理師読本は昭和26年の刊行から調理師になりたい人を支え続けてきたテキストです。
調理師試験の出題科目(公衆衛生学・食品学・栄養学・食品衛生学・調理理論・食文化概論の6科目)を完全解説。
毎年新しい情報を更新し、講習会や自宅学習でも定番です。

 

 

 

調理師試験問題と解答

 昭和38年の刊行より、調理師試験対策の問題集として多くの受験者に利用されてきました。
過去に行われた試験を基に、良問や頻出問題を800問以上収録しています。
わからない問題は、調理師読本に載っているページがわかり効率良く勉強が進められます。

 

 

 

『調理師読本』と『調理師試験問題と解答』の活用方法

1.『調理師読本』の見方


重要な単語(語句)は、青色の太文字で書かれています。

重要な内容は、文章に青の下線を入れてわかりやすくしています。

2.『調理師試験問題と解答』の見方


『調理師読本』で該当するページを記載
似た問題が出題された場合は、地域などを記載
 記載がない場合は、令和2年以前の出題を参考にした模擬問題になっています
解答と解説
ポイントの解説

3.『調理師読本』の逆引きを活用する

実際に問題を解いてみて、間違えた解答や曖昧になった解答を調理師読本で逆引きすることにより、理解を深めることができます。

本の購入はこちらから

   

試験当日

試験直前は、周りの空気に圧倒され、焦って色々な資料を見直すと間違った情報をインプットしてしまうことも…。今日まで自分がやってきたことを信じて、必要最低限の見直しに徹する事をおすすめします。

実際に受験された方の声

試験開始後は、60問を120分で解くので焦らず落ち着いて解答できる印象でした。
問題は、解答に自信のあるものから先に解き、難しい問題や迷った問題は後でじっくりと取り組んだので、慌てることなく試験に臨むことができました。

免許の申請方法

調理師試験に合格後は、免許の申請が必要です。
各都道府県で申請先が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

申請に必要な書類

  1. 合格の通知書
  2. 本籍表示のある戸籍抄(謄)本
  3. 医師の診断書
    麻薬、あへん、大麻または覚せい剤の中毒者であるかないかを診断したもの
  4. 申請手数料

※戸籍抄(謄)本、診断書は有効期限がありますので注意が必要です。